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社員との適切な距離とは?
梅木 今回は社員との関係性について深堀りしていければと思っています。やはり会社と社員との関係性が近ければ近いほどいいんじゃないか、逆にハラスメントの問題もあって、なかなか入っていけないとか、様々な思いがある中で、ただ心の中では近くなっていく方がいいんだろうなと思っている。でもどうしていいかわからないというような声をよく聞くことがあります。
まず、どうしていいか、どういう風にやるのかという前に、やはり社員との関係性は近い方がいいのか、そんなに入らなくてもいいのか、この点について塾長の考えを教えて下さい。
首藤 はい。社員というかですね、京セラの稲盛さんは「従業員」というふうに表現していて、この従業員というのは仕事に従事するという意味で、それは社員であろうが経営者であろうが、その仕事、会社の業務に従事している、要は社員も経営者も同じ仲間なんだというところを意味しています。
特にですね、若い経営者の皆さんであれば、従業員さんとどういう関係を作っていくのか、もしくは自分の会社、またはみんなの会社をどのように発展させていくのかという意味においては、従業員さんは大きな皆さんのかけがえのない仲間だと思いますから、その仲間に対してどのような気持ちで接していけばいいかということをまず第一に考えられたら良いと思います。
効果的な1on1のやり方とは?
梅木 最近、社員さん、従業員さんとの関わりの方法として、1on1であったり、フィードバックであったりといった方法論がよく取りざたされていますが、塾長の中でこのやり方というか、こういうことを心がけるといいんではないかというところについていかがでしょうか。
首藤 まず、1on1は100名ぐらいの社員まで、もしかすると300人、400人ぐらいの社員ぐらいまでは、必ず経営者は全社員と1年に1回、最低ですね、また1年に数度は必ず行うようにしてもらいたいというふうに思っています。
当然、継続的にやるわけですから、どういうようなところを毎回テーマにもっていくのか、もしくは何に従業員さんが気づいてほしいのか、もしくは自分自身が従業員さんに何を伝えたいのか、もしくは従業員さんの何を聞きたいのか、そういうところをですね、それぞれの方が、まずは自分がどうなのかというところを確認した上でですね、できればシステマティックに、システマチックといっても、要は15分だったら15分割く中で、最初の3分間はアイスブレイクに使って、それから最初は従業員さんの声を聞いて、または自分が言いたいところを1分言ってとかいうようなプログラムみたいなものを作られて臨むべきで、また1on1を実行されたらですね、その1on1についてご自分で反省するということを習慣化する。今、テープレコーダーというかICレコーダーとか、安いですから、ご自分で録られて、それを聞かれて、少しでも1on1がうまくなるように、要は従業員さんが心を開いてお話ができるような環境であったり、質問であったり、雰囲気であったり、そういうものを社長が、または経営者が工夫するようにしてもらいたいと思います。
話しすぎないためのコツは?
梅木 やはり1on1は非常に重要で、作っていく。どうしても社長である自分であったり、幹部である自分というのは、どうしても伝えたいということが前面に出てきてしまって、気が付くと自分ばっかり喋ってるということがよくあることだと思うんですけども、この気持ちとの整理の仕方といいますか、付き合い方について塾長のご経験がありましたらお願いします。
首藤 やはり人間というのは動物なので、言葉が伝わっているというよりも、気持ちが伝わっているかどうかっていうのは、動物としてすぐわかるわけですね。ですから、経営者であったり幹部であったりする方が、自分ばっかり話して相手に話す時間を与えないというのは、実はその方が従業員さんに言おうとしていることが、従業員さんが何も理解していないということを、もう動物的に理解しているわけですね。
だから、同じようなことを何回も何回も伝えていってしまう。相手が聞いてくれるようにするにはどうしたらいいのか、相手が聞く耳を持つにはどんなお話をしたらいいのか、そこにやっぱり工夫が必要ですよね。たった15分だけ、15分間1回だけで全てを伝えようということはあり得ないわけですから、今回の15分はこの1個でもいいから伝えていきたい、もしくは従業員さんのこういうことを理解したいというようなですね、細かな目標をきちんと立ててですね、それで理解し合えたところはきちんと理解し合えましたよねというようなところをきちんと踏まえながら話を進めていくというようなことを努力されると良いと思います。
1onn1をシステマチックに行う方法とは?
梅木 そうですね、ついつい話してしまいがちになります。ここでよくもう一つ聞く意見としましては、従業員と話してもいつ話したのか覚えていられないとかですね、何を話したことを覚えていられないとかですね、そういう言葉をよく聞きます。1on1をシステマチックにやっていくという上での塾長の工夫というところがありましたらお願いします。
首藤 やはり従業員さんを採用されて、一緒に働いて、また自分の人生をかけた経営をですね、一緒にやっていく仲間なんですから、私はもう若い頃からカルテを作ってます。何さんといつどういうようなお話をして、どんな約束をした。それは私が約束したものであったり、従業員さんがお約束されたものであったり、そういうものを作って、ぜひ1on1の前にまた見返して、前回こんな話をしたんだな、もしくはご家族があればご家族の誕生日がどうなのかだとか、お子さんの進学がどうなのかだとか、そういうものを管理しながら話題の中に織り交ぜて、また興味を引き出していくということが必要です。ですから、接点管理表だとか、そういうものも使われて、前回はこういうようにあった、また次回はこういうように接点を持つというようなところも戦略的に考えられるということが必要になります。
梅木 今回の内容は非常に具体性があって、明日からこうしたらいいんだというのがとてもよく分かる内容でした
従業員の方と距離を近く保って、経営を一体感を持ってやっていく。そのための1on1の方法、カルテの方法を塾長に詳しく今回も教えていただきました。