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新しい制度も、結局「やらされ感」で終わっていませんか?
社員が自ら動く「モチベーション3.0」入門
梅木 今回は社員との関係構築と心理的安全性というテーマの中でお話をさせていただければと思います。よく聞く内容として、新しい制度を導入したんだけども、結局社員の方々がやらされ感で終わってしまうということをよくご質問等をいただきます。まず、この点について、よくあるとか、よく耳にするという点がありましたら、塾長の方からお願いいたします。
首藤 まず、社員さんというのは制度自体変わることが嫌いなので、そもそも何のために制度を変えなきゃいけないのかというところをきちんと社員さんレベルまで理解していただけるように作っていかないと、まず嫌がられるというのが当たり前のことだと思います。
それも上から強制的にあまり意図だとか理念だとか目的だとか無しに、または不合理なところの質問に対しても答えてくれずにそれを行おうとすれば、当然やらされ感というか疲労感が漂ってくるというのは当たり前のことだと思います。
ですから、まず導入しようと思ったらですね、やはり社員さんときちんと話をして、どういうように導入していくのかとか、どのような弊害があるのかとか、そういうことをきちんとお話し合いができるような環境というものを作っていかれるというのが1つのポイントかなというふうには考えています。
梅木 やはりよくあるパターンだということですよね。そこで社員さんと話をしていく、対話を重ねていくことが大切なんですが、この時に気を付けるべきポイントであったり、考え方というのがありましたらお願いいたします。
首藤 最近というかちょっと前から1on1というのが流行っているというか、世の中的に認められていると思いますし、私も1on1というのは素晴らしいツールの1つだなと思うので、経営者の方々にはやった方がいいよというようなアドバイスをしたりしています。
ただ、1on1をするときにですね、意外にというか、とても多いのが、90%以上を上司の方が話をして、部下の話を全く聞いていないということだとか、また上司の言い分とすれば、部下は何も話してくれないから、ついつい時間がもったいないから自分の方が話していくんだというようなことだとか、そういうことというのがよく聞かれるわけです。そういったことというのは、実はちょっとした工夫でですね、部下の方も話していけるようになりますし、また部下の方が1on1を楽しめるような、次回、いつなのかなというふうに心待ちにしたりだとか、そういう風にも使えるやり方というのもあるのでですね、そのあたりは本当に気をつけて作られるといいと思います。
梅木 1on1は非常にやっぱり有益ですよね。ここでこのやらされ感を自分事のようにですね、感じていただくためにという方法の一つに、多くはといいますか、よく耳にしやすいのは、いわゆるお金を増やすとかですね。業績に応じたといったようなやり方がよく出てきやすいんですけども、この点について塾長、いかがでしょうか。
首藤 何のために仕事をするんですかって聞かれたときに、生活を守るためだ、もしくは生きるためだとか、家族のためだとか、これってよくある話だろうと思いますし、多くの方はそのことは嘘ではないし、本当の1つだろうというふうに思うんですね。ですけれども、その仕事に対してプライドを持って、もしくはもっと楽しみに、またその仕事を自分がやってること自体が自分のためになるみたいな感覚を持ってもらうというのは、決してお金だけではないということも、これまた皆さんも理解されるんじゃないかと思います。
よく私は子供の頃にですね、親から「何かしてね」、「買い物行ってね」とか「靴磨いてね」って言われた時に、最初に10円、20円、今だったら100円かしれませんけれども、そういうお小遣いをもらって始めたという経験をお話をします。何回か続けていくと、最初10円で嬉しかったお買い物が、実は10円で行くのがバカバカしくなってくる。次は20円、30円もらわないと同じお買い物ができなくなっていく。次は100円にならないと靴磨きができなくなっていく。そういうような気持ちもですね、実は皆さん大人になってからのモチベーションというものを考えた時に経験されているんじゃないかなというふうに思うんですね。ですからこそ、その方々を参画させるためにですね、じゃあお金でというようなお話をされてもですね、実はやらされ感を高めているだけであって、何の本気度、何の自主性も産まないということははっきり言えます。
梅木 確かにお金だけではやっぱり動かないというところで、社員さんの何のためにこれをやっているのか、誰のためにやっているのか、そしてそれが例えば自分の成長につながっていくのかということが大切だということが大変よく分かりました。特に1on1の中でこのような話を入れていくということが最も効果的と言えるのでしょうか?
首藤 そうですね。1on1の場合ですね、やはりその方が何のためにこの仕事をしているのか、隊長の部下ですね、が何のためにこの仕事をしているのかということに気づいていただいたり、確認していただいたり、そういうことが大切になりますので、まず大前提としては、会社の理念をきちんと伝えた上で、その従業員の方の方向性とどのようなずれがあるのか、もしくはどのような一致点があるかというところを詰めていくというのがまず大きな1つのポイントになります。
梅木 今回の内容を参考にして、やらされ感というところから脱却する手助けができるのではないかなというふうに感じました。ありがとうございました。