建設業の人材育成

はじめに

2021年11月13日土曜日、藤井聡太三冠が豊島将之竜王を破り、4連勝で竜王のタイトルを奪取しました。王位・叡王・棋聖を併せ持つ藤井四冠は19歳3ヶ月で羽生善治九段の持つ最年少記録を更新しました。

このニュースに触れて「新しい波はいつの世の中にも発生する」と言うことを思い出しました。

ほんの数年前までの棋界は、羽生九段とその他大勢と言う感じで、羽生九段のタイトル100回保持はほんの目の前にぶら下がっていたと思います。

しかし、藤井聡太さんが最年少でプロ入りし、その後の目を見張る活躍から今回の四冠の誕生で、その世界は大きく変化しました。

人材育成とは

企業として、永続的発展に欠かせないもの、それはまずはお金です。キャッシュフローだけを追いかけても、本体の稼ぐ力がなければ延命治療になるだけです。まずは、売上対経常利益率を10%以上にする事を実現化しなくてはなりません。

とは言え、人件費の切り詰めで、将来性の無い利益確保を行なっても、それは主客転倒です。人・物・金・情報の経営4大要素を的確に活用することで利益の確保を実現しましょう。

そして、永続的発展に欠かせない次の要素は、人です。

その人とは、藤井聡太四冠のような天才ではなく、社内で丹念に育てていく人材に他なりません。

藤井さんも単なる天才だけではなく、努力に努力を重ねた大実力者だと言うことは誰もが認めていると思います。

しかし、私たちの建設業におけるリクルート環境を鑑みれば、本当に普通の、ややもすれば頼りないような新卒の学生を一から鍛えていって一人前の職人や現場管理者に育成することが求められていることは明白でしょう。

2018年6月28日の日経新聞では

人材投資が生産性に直結、経財白書「1%増やせば0.6%向上」と銘打ち下記のような記事を公表しています。

内閣府の2018年度経済財政報告(経済財政白書)の原案が27日明らかになった。デジタル革命が労働市場に与える影響を分析し、企業による人への投資や学び直しの重要性を指摘した。社員教育など人材への投資が1%増えると労働生産性が0.6%高まると試算。経済成長力を高めるには、人工知能(AI)などを使いこなすIT(情報技術)人材の育成がさらに重要になる。

内閣府は企業への調査などを元に、人への投資を独自に推計した。職場内訓練(OJT)や社外研修などの「OFF-JT(オフJT)」を対象に研修費などの「直接費用」と、かかった時間を賃金で換算した「機会費用」を合計。平均的な投資額は1人あたり年に約28万円で、上場企業では約36万円だった。この投資を増やす場合の効果も推計した。1人あたり1%増やすと、企業の労働生産性は0.6%ほど上昇すると言う。社員の能力が高まり、企業が生み出す付加価値が増えるためだ。

平たく言うと

1人あたりに年間2,800円から3,600円の教育的投資を行うと、例えば、1人あたり生産性が年間1,500万円の場合では、90,000円向上すると言うことになります。年間3,000円程度の投資で、90,000円のリターンがある、と言うことになります。この90,000をどのように利用するのかは各社の考え方次第ですが、数字が実証するように、社員育成は会社にとって高い投資効果があると言うことです。

昭和・平成・令和と時代は変化して

いまだに、昭和的価値観で社員教育を語る方がいます。それはそれとして、その存在は否定しませんが、現在を生きる建設業の経営者としては、令和の社員教育を考えてもらいたいものです。

藤井聡太四冠のように、才能も努力も人的魅力も兼ね備えたような人は、そう多くはいません。ですから、まずは自社での社員育成の仕組みづくりを一歩一歩始めることが肝要です。

技術的な知識やスキルも重要ですが、まずは人として、社会人としての正悪をきちんと教え込むことが重要ですし、その正悪を会社全体で実行していることが最も大切なことになります。

挨拶から始まり、身だしなみや言葉遣いなど、基本的な基本動作を入社時から徹底し、その後定期的に全社員で取り組むことが、会社の基礎を向上させることになります。

建設業界は不滅です

人口が減少しようとも建設業界は必要不可欠な存在です。

ですが、その必要とされる業界でも、若手の職人や現場管理者を育成しなければ、自然と淘汰されていきます。

まずは、自社の状態をチェックし、なりたい姿を入手すべく、利益体質と社員育成の文化を根付かせる行動に着手しましょう。

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