はじめに
令和4年も4月を迎えて、各紙にも入社式関係の記事が多くみられます。
日経新聞の令和4年4月4日朝刊、5面には「経営の視点」コーナーで、「正直は最善の商略」と題して、編集委員の田中陽さんが「信頼、信用。4月1日、全国区で開かれた入社式で、多くのトップが口にしたのがこの言葉。…」と書いています。
節目節目で、この国をリードする企業のトップが語る方向性は、時代の空気を正確に伝えています。「信頼、信用」というキーワードが、各社にとってどんな意味があるのか?を考える良いきっかけになるでしょう。
わたしたち建設業界では
地域の中堅企業として、サブコンをイメージすると社員規模は、十数人から数十人、大きくても百数十人くらいであろうと思います。
では、この規模の企業としての入社式は、どのような意味や価値を持つものであり、開催することが本当に必要なものなのか?を考えていきたいと思います。
入社式とは
そもそも入社式は、なんのために開催されているのでしょうか?
採用戦略研究所は、「入社式を開催する効果と過去の事例をご紹介」いう記事の中で入社式を開催する目的や効果として、下記のように述べています。
「新入社員に社会人としての自覚を促す」ことが大きな目的に挙げられます。
これまでの学生気分を払拭し「今日から社会人だという自覚をもってもらいたい」というのが、どんな企業にも共通した想いです。
最近では、それらをオリジナルな方法で伝える企業が増えています。
ユニークな入社式は、インパクトが強く「採用広報」「モチベーションアップ」にも有効で、参加した新入社員に「ここに入社してよかった」「これから頑張ろう」と思ってもらえることは、企業にとっても嬉しいことです。
とは言え、上場企業や労組のある企業は、年々のベースアップ(ベア)の積み重ねにより、その他の企業との賃金格差が広がっていることは明白です。
というように、新入社員への効果を一義的には求めるのが通常の在り方でしょう。
しかし他方では、現存する社員への励ましや勇気づけの効果や取引先に対する信用力の向上を訴求する狙いを持つこともできます。
十数人の規模の会社が、新入社員向けに「入社式」を開催することは、コストだけでなく、運営上にも多くの課題があることは明白でしょう。日程を決めたり、会場を選んだり、式次第を考慮したり、来賓を招いたり、本当に様々なことを積み重ねる必要があり、苦労が多いものです。
会社の規模に関わらず、建設業界が「入社式」を開催する目的は?
社内外の人へのメッセージ性だと思います。
建設業界に存在するものとして、特に「安心」「安全」「高品質」を訴えかけるツールとしての「入社式」をイメージしてみましょう。
2020年代を迎え、日本社会はより高度に人間性の向上を求めています。以前のようなコスト重視ではなく、使い勝手や心地よさなどの「使う人としての喜び」や「空間を共にする楽しみ」を求めるようになっています。
このような市場の変化に対して、自社を取り巻く「社員」「お取引先」「お客様」への大きなメッセージとしての「入社式」を創造してみましょう。
おわりに
建設業界は、モチベーション3.0における「自律性」「成熟性」「目的性」を兼ね備えた、地域経済では希少な存在です。
ぜひ、この特徴を活かして、地域社会の発展のためにも、地域で生活をする求職者のためにも、わたしたち自身が成長することを志しましょう。
中途採用でも、新卒採用でも、分け隔てなく、この季節に「入社式」を開催して、社員のやる気の向上はもとより、「安心」「安全」「高品質」の提供を社内外に広くアピールしましょう。